バイオダイナミック農法:天体や宇宙の法則を利用した最高水準のオーガニック農法

バイオダイナミック農法は、1920年代にオーストリアの哲学者、神秘思想家のルドルフ・シュタイナー氏によって提唱された農法です。彼は、地球上の生命に影響を与える宇宙的な原理を農業に応用しました。

大地、鉱物、動物、植物のダイナミックな関係性を考慮し、適正なバランスを保つことが重要視されています。

現在、バイオダイナミック農法(Biodynamic farming)は、生産者団体Demeterが認証する最高品質の有機栽培方法で、最も持続可能な露地栽培とも言われています。

エコロジカルで宇宙的なバイオダイナミック農法の基本文献が丁寧な訳と編集でついに現代に蘇りました。

ルドルフ・シュタイナー, 農業講座, イザラ書房, 2000

バイオダイナミック農法の基本原則

農場全体を一つの有機体とみなす

農場は一つの閉じたシステムとして扱われます。外部からの資源の投入は極力控えます。土壌、植物、動物、人間の全てが一体となって機能することで自然の循環を促進ます。

たとえば、動物の糞尿や作物残渣をたい肥として使用し、植物の栄養源にすることで、農場内での資源循環が実現されます。

宇宙のリズムを尊重

バイオダイナミック農法では、月の満ち欠けや天体の配置が植物の生長に影響を与えると考えられており、播種や収穫、堆肥作りなどの作業は天体のリズムに従って行われます。これにより、植物の健康と生育が促進されます。

黄道十二星座と植物の関係

各星座は、水、光/空気、土、熱を通じて自らの波動を大地と植物に与えており、どの星座の前に月が配置されるかに重大な意味があります。

植物の4つの部分(根、葉、花、実/種)に好影響を与える日はそれぞれ根の日、葉の日、花の日、実/種の日と呼ばれ、黄道十二星座との関係は以下の通りです。

日の分類作用する力関係する星座
根の日おうし座、おとめ座、やぎ座
葉の日かに座、さそり座、うお座
花の日光/空気ふたご座、てんびん座、みずがめ座
実の日いて座、おひつじ座
実/種の日しし座

たとえば、やぎ座の前に月がきた日は根の日となります。この日に根の植物の種まきや手入れ、収穫をすると、最も品質が良くて保存期間の長い健康な農作物を収穫することができます。葉の日、花の日、実の日、実/種の日も同様です。

なお、正確な日付は「種まきカレンダー(ぽっこわぱ耕文舎)」からも知ることができます。

惑星と地球への影響

月や太陽と同じように、その他の惑星も水、光/空気、土、熱を通じて地球に影響を与えます。

惑星と太陽作用する力関係する星座
土星、水星、冥王星おひつじ座、しし座、いて座
太陽おうし座、おとめ座、やぎ座
木星、金星、天王星空気/光ふたご座、てんびん座、みずがめ座
火星、月、海王星かに座、さそり座、うお座

大地の呼吸(時間帯)

朝、土は空気を吐き出しており、夜、土は空気を吸い込んでいるため、夜に乾いた土を耕すと、周囲の湿った空気を土に取り込むことができます。

土を耕すときも宇宙の力が大地に入り、農作物に影響を与えます。土を耕す作業も種まきの日と同じ日にするのがよく、3㎝程度掘る(ひっかく)ことによって、窒素の多い空気を土の中へ入れることが可能になります。

月がおうし座、おとめ座、やぎ座の前に耕す作業をすると、窒素含有率が最も高くなります。太陽がおうし座かおとめ座の前にある時も窒素化合物が多くなります。

大地の呼吸(月の配置)

月は約29日で地球の周りを一周します。月の下降期(ふたご座からいて座へ向けて移動中)は土は息を吸い込んでおり、力や水が植物の下の部分に集中するため、根の成長がよく強くなり苗や樹木の植え付けに適しています。挿し木も同様です。

上昇期(いて座からふたご座へ向けて移動中)は土は息を吐き出しているため、力は植物の上の部分に集中します。

収穫のタイミング

基本的に、収穫に適した日は種まきと同じ日ですが、例外として葉野菜は花もしくは実の日に収穫します。

果物の収穫は、月の上昇期の実の日が最適です。

朝と午前中は力が下から上へと向かうため、この時間帯に収穫したサラダ菜は長持ちします。午後と夕方は力が上から下へと向かうため、根の植物の収穫に適しています。

正午とその前後は農作業をするのに不適切な時間帯なので、何もしないようにしましょう。

バイオダイナミック農法のメリット

土壌の健康改善

バイオダイナミック農法では、化学肥料や農薬を使用せず、自然の力を利用して土壌の健康を維持します。これにより、土壌の微生物活動が活発になり、肥沃な土壌が形成されます。

健康な土壌は、病害虫に対する抵抗力が高まり、作物の品質も向上します。

生態系の多様性向上

異なる種類の植物や動物を共存させることで、生態系の多様性が高まり、害虫や病気の発生が抑えられます。

例えば、コンパニオンプランティング(相互に有益な植物を一緒に栽培する方法)やアグロフォレストリー(樹木と農作物を組み合わせた農法)を取り入れることで、自然のバランスが保たれます。

農作物の高品質化

バイオダイナミック農法で育てられた作物は、栄養価が高く、風味豊かであるとされています。これは、自然のリズムに従った農法が植物の健康を促進するためです。

消費者は、バイオダイナミック農法で育てられた作物がより美味しく、健康に良いと感じることが多いです。

その他の栽培技術

バイオダイナミック農法では、まだまだ様々な栽培技術があります。日本で本格的に実行することはなかなか難しいですが、一例を挙げます。

  • お茶の活用(イラクサ茶、セイヨウノコギリソウ茶、タンポポ茶など)
  • ハーブから作る水肥(カモミール、レモンバームなど)
  • 角堆肥調合剤(乳牛の角に牛糞を詰めて地中で発酵させる)
  • 角水晶調合剤(乳牛の角に水晶の粉末を詰めて地中に埋め、太陽の力を凝縮させる)
  • 雑草対策にD8濃縮液(然るべき日に雑草の種子を燃やし、その灰と水から生成)

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