実は有機農業も安全ではない?肥料の恐ろしさ

慣行農業と有機農業

慣行農業とは、現在一般的に行われている農業で、化成肥料や農薬が使用されています。

有機農業とは、広い意味では、農薬を使おうが使わまいが、鶏ふんや牛ふん堆肥など、とりあえず有機物を使えば有機農業となってしまいます。

しかし、そうすると農家の数だけ有機栽培方法ができてしまうので、法律では以下のように定められました。

有機農業とは、「化学的に合成された肥料及び農薬を使用しないこと並びに遺伝子組換え技術を利用しないことを基本として、農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減した農業生産の方法を用いて行われる農業をいう。」(農林水産省HP参照

ちなみに、現在日本では、有機JAS認証を取得しなければ、農作物や加工食品に「有機○○」、「オーガニック○○」と記載することは法律で禁じられています。

さて、慣行農業と有機農業の割合ですが、農林水産省のデータを見ると、有機農業の取り組み面積は令和4年度で30.3千haで全体の0.7%です。そのうち有機JAS認証取得面積は18.8千haなので、全体の0.42%です。少なすぎ…。

みどりの食料システム戦略によると、国の目標値が100万haなので、ざっくり33倍にしないと目標を達成できません。

それはそうとして、99%以上の野菜は慣行農業で栽培されているので、スーパーで購入する野菜や外食産業で使われる野菜などは、ほとんどすべて慣行農業で栽培されているといえるでしょう。

自然栽培

近年、有機栽培から派生した肥料や農薬を使わない栽培方法として、自然栽培が注目を浴びています。「自然栽培」とは自然の力をいかんなく引きだす永続的かつ体系的な農業方式の呼称です。肥料・農薬には頼らず植物と土の本来持つ力を引き出す農業です(自然栽培全国普及会HPより引用)。

冒頭の写真は、自然栽培、有機栽培(JAS法に基づく)、慣行栽培によるキュウリの腐敗実験です(ここまでわかった自然栽培 農薬と肥料を使わなくても育つしくみP.(5) 杉山修一著)。

キュウリを水につけて放置し、どうなるかを観察したところ、自然栽培では、発酵して半年後漬物になったようです。

一方で、有機栽培では、二週間経つとドロドロに溶けて腐ってしまったようです…(やばくない!?)。

スーパーで購入したキュウリを慣行栽培とラベル付けしたようですが、生産者に栽培方法を確認すると、肥料・農薬・除草剤を1年間使っていない農地で栽培されたキュウリとのことです(下記動画の14:35あたりで言及)。

お米でも、同様の結果が得られたようです(上記動画から抜粋)。画質が悪すぎてすみません…。

窒素の影響

自然栽培農作物が腐敗しにくく、日持ちするのは、農作物に含まれる窒素の量が関係します。

窒素と、植物が光合成で作った糖が合成されてたんぱく質が出来上がるので、窒素は植物の生長に必要不可欠です。しかし、たんぱく質を作る以上に植物が窒素を吸収してしまうと、植物の体内に硝酸態窒素という形態で窒素が集積されます。

腐敗に関与する微生物は窒素が大好きなので、窒素が多い農作物は腐りやすい傾向にあります。つまり、化成肥料を使う慣行農業であれ、鶏ふんなどの有機質肥料を投入する有機農業であれ、窒素分が多い肥料を投入すると、できた農作物は腐りやすくなってしまうということです。

他方で自然栽培では、肥料を投入しないので、農作物に含まれる窒素の量は低い傾向にあります。そのため、腐敗菌が増殖せず腐らないので、日持ちします。

農作物に含まれる硝酸態窒素と発がん性について指摘する人もいます。硝酸態窒素は人体にとって有毒なので(まあ、爆薬の原料にもなりますから。戦後、化成肥料を創り出したのも兵器メーカーですし…)、人間が食べる前に虫が食べに来てくれているという考え方もあります。

風の谷のナウシカのように、蟲が浄化の役割を担ってくれているんですね。

最後に

窒素肥料を使いすぎると、たしかに農作物は早く大きくなりますが、同時に虫を呼び寄せ農薬に頼らざるを得なくなってしまうのと、出来上がった農作物は腐敗しやすい傾向にあります。

人体への悪影響に対する懸念も払拭できません。

それは、化成肥料を使う慣行農業であろうが、有機質肥料を使う有機農業であろうが同じことです。

上手くいくのであれば、肥料や農薬を使わない自然栽培が一番人体にとっても環境にとってもよいですが、あとは継続して農業ができるだけの収益をきちんと上げられるかどうかですね。

窒素肥料を使わなくてもある程度の収量を確保するためには、炭(窒素固定細菌を増やす)、植物ホルモン(植物の生長過程を理解する)、昔ながらの知恵(根を切って植えるなど)、コンパニオンプランツ(お互いの生育を促す作物の組み合わせ)がキーワードかなと思います。

来春本格的に作物を栽培する前に、それらの文献調査を重ねる必要があります。

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